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料理において最も重要なスキルは「味見」である

料理において最も重要なスキルはなんだろう? そう考えた時に、真っ先に思いついたのが「味見」です。料理には「切る」「炒める」「味付け」などの様々な工程がありますが、最終的に美味しい味になったかどうかを判断するのは「味見」です。味見のスキルを鍛えていると、味付けに失敗したとしてもリカバリー出来たりと色々と便利です。私も長い間料理しながら味見の仕方を色々と工夫して、それなりに味の違いが分かるようになってきました。なので味見に関して考えていることを諸々書いていきたいと思います。

人は「味」が意外と分からない

【教育】最近の子供は味覚がない!?30%の子どもが味覚認識できず – NAVER まとめ

ちょっと前にこんな記事がありました。小学生に味覚のテストをして、正しく判別出来るかを実験したらかなりの子供が正確に味を認識出来なかった、という記事です。この記事を読んで「子供たちが正しく味を認識出来ないのは化学調味料のせいだ!」とか「親がちゃんとした食事をさせていないせいだ!」などというコメントもありますが、それらは恐らく見当違いでしょう。「味を判別できる」というのは、舌で受け取った情報を脳が正確に記憶している、ということです。この実験では「甘い」「塩っぱい」「酸っぱい」「苦い」の4つの味を別々に口に入れて味が認識出来るかテストしたようですが、基本的に普段の食事で、これら4つの味を個別に口に入れることはほぼありません。料理の味は「甘い」+「塩っぱい」だったり、「塩っぱい」+「酸っぱい」だったりと2つ以上の要素が混ざり合った状態で成り立っています。なので普段食べている料理の味は判別出来ると思いますが、個別の味を認識するような、味覚の訓練のようなことを子供がしているはずがありません。なので、正しく味を認識出来なかったとしても全く不思議ではないのです。「食文化の崩壊だ!」とか言ってる大人がいたら、あぁこいつなにも分かってないんだな……と考えていいでしょう。試しにこのテストと同じことを大人にしてみるといいと思います。大人だからといって味を個別に認識する訓練などしてるはずもないので、きっと結果は子供たちとそう変わらないでしょう。

人は「味」が意外と分からないけど、「美味しいかどうか」は意外と分かる、という矛盾

ここまで「人は味を正確判別出来ない」という主張をしてきましたが、しかしそう考えると矛盾があります。その矛盾とは、美味しいと評判になるお店はあるし、不味いと評判になって潰れてしまうお店がある、ということです。お店の評判は、味以外の要素もたくさんあると思いますが、美味しいと評判になっているお店があるということは、殆どの人が「美味しいか不味いか判断出来る」ということなんです。「味は分からない」けど「美味しいかどうかは分かる」、これは矛盾です。味が分からないのならば、美味しいかどうかも分からないはずです。

この矛盾を解決するために、私はこう考えるようにしました。

「味が分かる」ということは、五味や各素材の味が個別に認識出来るようになることであり、「美味しいかどうかは分かる」ということは、完成された料理の味が判断出来ると、ということだと考えればすっきりします。

人は皆、個別の味を判別するような訓練なんてしないんです。ただ、完成された料理の味が美味しいかどうかは、毎日の食事のたびに判別します。美味しいかどうかを判別する訓練は毎日してるので、それは上達しますよね。

料理を上達したいなら「味が分かる」ように訓練しよう

「味が分かる」ということは、五味や各素材の味が個別に認識出来るようになることだ、と定義しました。個別の味が認識出来るようになると、色々な素材や調味料が料理して混ざり合った状態になっても、なんの素材や調味料を使っているか、それなりに分かるようになってきます。分かるようになれば、お店の味を家庭で再現出来たりもするので、料理が俄然面白くなってきます。

ではどのようにすれば個別の味が判断出来るようになるのか? 私もプロの料理人には程遠いですが、それなりに味の事が細かく判断出来るようになったので、私が意識的にやってきた訓練方法を書いていきましょう。

どんな素材も調味料も必ず味見してみる

私はどんな素材も調味料も、知らないものに関しては必ず単体で味見するようにしてます。素材は、塩などの調味料で味を付けないで一度は食べてみます。火を入れた状態でも食べてみますし、火を入れない状態でも食べてみます。火を入れてないで食べるのに抵抗がある素材も、そのままで食べてみたりします。まぁ最悪お腹壊すくらいで済むだろうと思えるものなら、なんでも口に入れてみます。そうすることで「意外と生のジャガイモも美味しいんだなぁ」とか新しい発見があったりします。調味料も、知らないものは必ずそのまま味見してみることにしてます。こちらも素材と一緒で、料理として混ざり合った状態で食べるのとは違い、新しい発見があります。

調味料をひとつ入れるたびに味見する

私は料理をしてる時、調味料を入れるたびに味見をするようにしています。塩を入れたら味見をし、醤油を入れたら味見をし、スープの素を入れたら味見をし、といった具合に味見を細かくしていきます。これらを繰り返していると、どの調味料がどのように味に作用してるかが、なんとなく分かってきます。つまり味が混ざった状態の味を、判断出来るようになります。これが出来るようになると「何かひと味足りない……」という時に何を入れれば美味しい味になるのか、的確に判断出来るようになります。今足りないのは、塩なのか、それとも出汁なのか、これらが判断出来るようになると、味付けに失敗した時のリカバリーもし易くなります。

味付けが失敗した時、見当違いの調味料を加えて味がどんどん分からなくなっていく、なんて経験をしたことある人も多いと思います。私なんかは「ポトフや豚汁といった汁物の味がいまいち決まらなくて、あれこれ足してたらしょっぱくなってしまい、水を追加して薄くして、更に色々調味料を追加していったらまた味がいまいちのまましょっぱくなり、また水を足す」なんて失敗をよくしてました。最終的には鍋に水が追加できないくらいになって、なんか味が決まらないまま仕方なく食べる、なんてことがよくありましたね。

尚、これはおまけ知識なのですが、汁物の味見には気を付けなくてはいけないコツがあります。それは「絶対に冷ましてから味見をする!」ということです。鍋を火に掛け、熱々の汁物を味見する場合、お玉やスプーンで鍋から直接味見をしてしまう人も多いと思いますが、これで私は何度も失敗しました。熱々のままの汁物を味見すると、舌が火傷するんです。しかも、自分が火傷してると気が付かないくらいの火傷です。舌が火傷すると、正確な味見が出来なくなります。しかし自分では火傷してる自覚がないのですから、何度も味見しては「おかしいな~調味料追加」を繰り返したりなんてこともありました。今では火傷してるかどうかも自覚出来るようになったので、自覚した時は素直に諦めるようにしてます。なので、小皿に取ってから味見をする、というのはすごく大事なんです。カレーとか特にこれになりやすいので、カレー作りが趣味の人は、心当たりがあるんじゃないかと思います。

記憶に焼き付けるように味見する

味見をする時の更なるコツとしては、強く記憶に焼き付けるようなイメージで味わうことです。そして時間をおいて何度も何度も味見をすることです。一回で脳に記憶させられたらそれはそれですごい能力の持ち主だと思いますが、普通の人はそんなこと出来ないので、何度も何度も、強く意識しながら、味わうのがいいでしょう。「味覚が鋭い」というのは、単に「鮮明に記憶している」ということなので、味音痴だーと思っている人でも訓練でかなりのところまで鋭くなれると思います。味蕾の数が多いほうが味覚が鋭い、なんて話もありますが、いくら味蕾の数が多くても、食に興味がなければ味は記憶出来ないでしょう。

また、食べ慣れていない味に関しても、人は美味しさを判断出来なかったりするので、やはり味覚とは記憶と密接に繋がっているのだと言えるでしょう。

自分にとっての美味しい味を強く意識する

味見をして「自分にとって美味しいかどうか」という点を強く意識することも大事なことです。自分の中に絶対的な美味しい味の基準を作っておけば、そこから人の好みに合わせて味を調整することが可能になります。自分の中の絶対的な基準があってこそ、他人の味覚に合わせた美味しい味が作れるのではないかと考えています。

最後に

ここまで料理にとって最も重要なスキル「味見」に関して語ってきましたが、味見に関する情報って殆どないんですよね。味覚を鋭くするための訓練の仕方も、色々調べてはいるんですが、どれも曖昧でピントがずれてるような記事しかなかったので、自分で普段考えていることを記事にしてみましたが、もう少し考えて整理していけば「味覚の具体的な鍛え方」なんてのも確立出来るかもしれませんね。つーか誰か確立してないんですかね? もし知ってる人がいれば、是非教えてください。

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