「塩は良いものを使え」
料理好きならこの言葉を一度は聞いたことあるでしょう。そんな言葉に影響されて、色んな塩にこだわりまくってしまった人も多いでしょう。塩には、岩塩、海塩、湖塩、藻塩、粗塩、ハーブミックスの塩、フレーバー付きの塩など、数多くの塩が存在します。一般販売されている商品で考えれば、数え切れないレベルです。色々試していたら、何十種類もの塩が揃い、いつの間にか塩マニアになってしまった人も少なくないと思います。
「塩にこだわれば、自分の料理がもっと美味しくなる」
私もそう思ってた料理好きの一人でした。しかしですね、もう気が付きました。「どんなに良い塩使っても料理は美味しくならない」という真実に。今日はそんなことについて書いていきます。
岩塩や海塩などを使うメリットとして一番言われるのが「ミネラルが豊富である」という点です。しかしですね、そのミネラルが豊富なことで、どこまで味に違いが出るでしょうか? 色んな塩を味見して比べてみると、確かに味が違うような気がしますが、それは塩の粒子の大きさによる「食感の違い」を感じているだけ。味の違いを感じている訳ではないです。味の違いを判断できるようになるには、意識的に訓練が必要になります。塩に含まれるミネラルの含有量はごく少量なので、そこまで味が変化するはずはないんです。
成分データを比較すると、成分の差は殆どない事が分かります。成分データのサンプルとして、公益財団法人塩事業センターの「食塩」と、粗塩として有名な「博多の塩」の成分を比較してみましょう。
成分データは下記の公式サイトからを参考にしました。
・公益財団法人塩事業センター 食塩1kg の成分データ
http://www.shiojigyo.com/a020products/
塩化ナトリウム 99%以上
カルシウム 基準0.02%
マグネシウム 基準0.02%
カリウム 0.25%以下
重金属 10mg/kg以下
水銀 0.1mg/kg以下
砒素 0.5mg/kg以下
カドミウム 0.5mg/kg以下
鉛 2mg/kg以下
銅 2mg/kg以下
・伯方の塩(粗塩)の成分データ(100gあたり)
http://www.hakatanoshio.co.jp/products/items.html
塩化ナトリウム 95.2g
ナトリウム 37.5g
マグネシウム 100~200mg
カルシウム 50~200mg
カリウム 50mg
記載されている成分の項目が違うので単純比較しづらいデータですが、注目すべきは塩化ナトリウムの部分です。公益財団法人塩事業センターの食塩は、99%以上が塩の主成分である塩化ナトリウムです。それと比較して、博多の塩の方は、100g中95.2gが塩化ナトリウム。ということは、gの単位で揃えると以下のようになります。
公益財団法人塩事業センター 食塩:100g中99gが塩化ナトリウム
博多の塩:100g中95.2gがが塩化ナトリウム
その成分の差は約4%しかありません。4%ほどの成分差で、味がそこまで変わるはずがありません。結局これらから導きだされる結論としては「塩で変化する味の違いなんて殆どない」ということです。違う塩を最初に使った時はなんだか美味しくなった様な気がする事がありますが、なんども使っていると毎回味がぶれてしまい、良い塩の効果があるのか分からなくなったという経験のある人、多いんじゃないでしょうか?
飲食店で働いていたことのある友人から話を聞いても、殆どのお店は精製塩を使っているそうです。プロも、粗塩よりも精製塩を使っているということは、塩の違いで味が変わることが無いことを理解しているからでしょう。もし料理好きな方で、良い塩を使うことへの疑念があった人は、遠慮無く精製塩を使ってみるといいでしょう。個人的な感想としては、サラサラとして扱いやすい塩で味付けした方が、味付けがぶれにくいと感じています。
なので、変に良い塩を使うよりも、絶対精製塩を使うことをオススメします。
ここまで完全に精製塩を推してきましたが、一応藻塩や岩塩を使うことのメリットなどを考えてみると「料理の見た目の演出」や「食感の演出」などがあげられるかなと思ってます。ただ、「良い塩で料理の味が変わるなんてことはない」ということだけは断言しておきたいと思います。
あと、公益財団法人塩事業センターの食塩のパッケージ、結構かわいいですよね。「そるるんひめ」っていう名前みたいです。塩にも萌えキャラ、そういう時代なんですねぇ。
そるるんひめとお塩のはなし – 食塩キャラクター「そるるんひめ」 – 公益財団法人塩事業センター
http://www.shiojigyo.com/salrun/story/