ネットワークエンジニアな私


3月26日に『タモリめし』も無事発売され、ネット上では完全に料理関係の活動が目立っている私ですが、本業はネットワークエンジニアです。当初はバイト感覚で始めたのですが、いつの間にやら10数年のキャリアとなりました。10年目くらいまではあくまで仕事としてやっていたのでネットワークそのものには全く興味が無かったのですが、ここ数年でネットワークの面白さに開眼して、今では料理だけじゃなくネットワークの本も何かしら出したいなと考えるようになったくらいです。なので、なんとなく私のネットワークエンジニアとして今までどんな仕事をしてきたのか、振り返ってみたいと思います。業界を知らない人向けには書いてないので、理解出来る人だけ「あーわかるわかる」と言ってくれれば幸いです。


ネットワークエンジニアの始まり

20代前半、私は色々あってフラフラしてお金が無かったので、とりあえず得意だったパソコン関係の仕事がありそうな日払い派遣会社に登録しました。運が悪ければ関東近郊の工場でパソコン組み立てなんかやらされてたんでしょうが、この時本当に運が良く「夜勤で機械のファームアップの仕事があるんだけどどう?」と言われてやりますやりますと行ったのがネットワークエンジニアの始まりです。

大学生時代、ネット廃人となってテレホタイム(笑)だけ起きているという生活を送っていたのでパソコンには詳しかった私ですが、ネットワークに関してはずぶの素人。CISCOのネットワーク機器なんてこの時初めて知りましたし、理解出来ないことばかり。とりあえずネットワーク資格の定番CCNAを取ろうよと言われて3 Minutes Networkingを見ながら適当に勉強してた訳ですが、資格とか試験とかに苦手意識のある私はすぐやめてしまいました。(今も資格は持ってないですw)

ただ、実際の業務に関しては飲み込みが良く、上の人からも評価されたようで、3ヶ月くらいでとあるキャリアのバックボーンの構築チームに配属されました。バックボーンなんて今思えばど素人にそうそう触らせていいようなもんじゃない気もしますが、これも本当に運が良かったなと思います。インターネットの世界がどんな形で成り立っているのかがすごく理解出来たし、チームのみんなも比較的年や感覚が近い人たちばかりだったので、すごく仲が良く、現在では皆離ればなれにはなってますが今でも仲良くしてます。

このバックボーンの構築業務がまた大変でした。
基本的な仕事の流れは、下記の二つをループです。

・作業の準備(日勤:構築作業の詳細確認、作業手順書の作成、手順書のレビュー)
・作業実施(夜勤:ネットワークの構築作業)

一週間の間で日勤と夜勤がコロコロ入れ替わる肉体的にかなりキツい仕事で、しかも現用のトラフィックが流れている回線を切ったり繋いだりする作業だったので、ちょっとでもミスをするとユーザーのトラフィックに多大な影響という精神的にもかなりキツい仕事でした。どんくらいの影響かと言うと「ミスすると何十万人というユーザーがインターネット出来なくなってしまう」、そんな影響度でした。

当初私は仕事に対する意識が低かったので、細かいのから大きなのまで色々やらかしたもんです。ミスする度に、作業中の時系列やミスの原因と対策をまとめたりしてて、それを報告してチームのみんなや上司から問い詰められまくったりしつつ、夜勤のはずがいつの間にか夕方くらいまで会社に居たりとそんな日々でした。自分も含めてチームの誰かがミスする度に対策を立てなくてはいけなかったので、作業がどんどん厳しいものになっていきました。そんな日勤と夜勤を行ったり来たりする生活が約4年くらい続きました。

※余談ですが、この夜勤が続く生活の中、朝帰宅して『はなまるマーケット』から始まる午前中の料理番組ラッシュを延々と見続け、お昼の『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』を見て就寝するという生活パターンの中で料理が上達していったのです。

この時の仕事でだいぶ自信が付きました。3年目にもなれば、ほぼミスもなくただ作業をこなすだけではない高いレベルでの仕事が出来てました。結構調子に乗って思い上がってた時期だと思います。この時、仕事は充実してたんですがバックヤードでつまらないイザコザがあり、それに嫌気がさしていたところに、同じ構築チームにいた人で、先に別の会社に行ってる人からこっちで仕事しないかと誘われてほいほいとついて行ったのが次の保守運用でした。


地獄の保守運用時代

この時ほど仕事をした時期は今も昔もありません。前任者たちが会社の都合で一斉に引き上げることが決まっていて、私含めた3~4人のチームで1ヶ月程度で引き継ぎをしないといけないという状況でしたが、業務は完全に属人化されており、全てを引き継ぐのは不可能。前任者たちが居なくなって立て続けに起こる問題にどう対処していいのかさっぱりわからず、ずっと炎上しっぱなしで、月の勤務時間が300時間を越えるのが普通……そんな時代でした。私ともうひとりとリーダーの3人以外は仕事がむちゃくちゃ過ぎて2ヶ月毎に変わっていきました……。

肝心の仕事内容の説明ですが、全国や海外にも拠点を持つ法人ネットワークの保守運用です。保守運用のお仕事は、お客さんの拠点に設置されているネットワーク機器に障害が発生した時に備えてルールなどを整備し、24時間シフト勤務で機器の状況を監視している監視チームへと「こうなった時はこうしてください」とお願いしたり、障害発生率や障害原因調査とその対策をお客さんに報告したりするのがメインの仕事です。普段はルーチンワークを淡々と熟すだけの仕事のはずなんですが、ちょいちょい障害が発生します。監視チームが手に負えない障害だったりした場合は、私に電話が掛かってきます。24時間いつでも……毎日にように寝てる間に問い合わせの電話が掛かってくることもありました。しかもまだまだ判断出来る知識が無かった私は電話が来てもどうしたらいいか分からず「確認して折り返します!」と答えるのが精一杯でした。

大きな障害が発生した時は、障害の内容をお客さんに説明しないといけないのですがこれがまた大変で、資料作りはいつも徹夜でした。作った資料をリーダーに確認してもらいにいくと「こんなんじゃ納得してくれない」とか言って延々と作り直させられ、それでお客さんに持って行くと「全然ダメ、やり直し」とか言われる。理不尽極まりない世界でしたね。なにが正解なのか全く理解出来ないまま仕事をしてる感じでした。

その現場は1年で契約終了という形で幕を終えたのですが、今思えば、保守運用側も、お客さん側も、自分たちの立場や感情を優先して好き勝手言って状況が常に混乱していただけということです。エンジニア的なロジックなんて一切存在しない世界でした。今思えばいい経験だったと思いますが、もう月に360時間とか会社にいる生活はこりごりですね。この後疲れ切って半年間休職しましたし。


監視サーバの構築業務時代

半年休職した後に適当に仕事探したらあっさり決まったのがこの仕事。私が保守運用業務時代にNNMの操作をしてたので、そのスキルを持った人材がちょうど欲しかったので、面接したその場でいきなり採用が決まりました。珍しい例です。NNM業務で良い人に恵まれなかったらしく、猛烈に欲していたようです。

ここではいわゆる一般的な構築業務というのを体験出来ました。ネットワークを始めた構築チームだと、毎日のように商用作業をしていたんですが、ここではひとつの作業をするのに、2~3ヶ月の準備をします。手順書作って内部でリハーサルしてレビューしてを何度も繰り返した後、お客さんにレビューして貰うといった流れ。

この時期は現場の人たちと可もなく不可もなくみたいな付き合い方しか出来なかったので、仕事もまーまー大変でしたが、可も無く不可もない感じでしたね。今思えば正直自分の良いところをあまり発揮出来なかった気がします。ここも1年くらいで契約を終わりました。


現在のネットワーク機器の検証業務

これが今現在リアルタイムなうでしてるお仕事です。ネットワーク機器の動作が正常に動いているのか、確認するお仕事です。気がついたらもう5年近くやってるんだな。

検証の仕事を始めて感じたのは、TCP/IPやらパケットの構造とかのネットワーク技術の基礎を全く理解してなかったんだなという事実です。基本的に今までのネットワークの仕事は「機器のconfigが正しければOK」という感じだったので、ネットワークにどんなパケットが流れてて、機械の中でどんな風にパケットが処理されているかなんて全く意識する必要がなかったんです。そんなネットワークエンジニア、そこらへんにゴロゴロしてますよね。私もそんなエンジニアのひとりでした。

一般的に検証業務というと検証手順に沿って淡々とこなしていく業務ってなイメージらしいんですが、今やってる検証は手順書なんて無いし新しい技術を精力的に取り入れてる機器を検証してるので、全てが手探り状態なんです。しかしそれが逆に今まで仕事でしかなかったネットワークの仕事が本気で面白いものになってきました。

なにが面白いかってネットワークの技術で我々の仕事や生活がどんどん便利になっていくのが分かるようになったからです。あーあれとあれを組み合わせればもっと便利になるんじゃないかなーとか、こんな製品があればこれと組み合わせて便利な機能を実現出来るんじゃないかなーとか、そんなことをどんどん思いつくようになりました。その結果、今までは雑誌とか料理とかの同人誌を作ってきたんですが、ネットワーク関係の本も作りたい! と思うまでになりました。1~2年以内には、何かしらネットワークで本作りたいですね。今考えているのは本じゃないんですが、TCP/IPの仕様を勉強できるようなゲームとか、そんなのを漠然とですが考えてますね。

取り留めも無く色々書いてきましたが、ネットワークの本って難しい技術書とかばかりなのでもっと面白い本もあればいいなーと思ってるんですよ。他のジャンルだと擬人化とかが流行を通り越して既に一般的な文化となりつつありますが、各種プロトコルの擬人化とかすんげー出来そうじゃないですか。そんな感じで、今後は料理とネットワークで色々頑張っていきたいなと思ってます。