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資格試験の取得に苦労してた新人を無事合格まで導いた話

うちの会社はネットワークエンジニアの会社なのですが、新人が入社したらまず最初の目標として、CiscoのICND1取得を頑張らせます。そんな中、別のチームでICND1の取得を目指している新人Nくんがいたのですが、話を聞いてみると、どうも二か月間も勉強してて、しかもその間に5回受験して5回落ちてるとのこと。Ciscoの資格って、一回受験する受験料がすごい高いんですよ。ICND1を一回受けるだけでも約2万。つまり彼、5回受験してるってことは既に10万円無駄にしてるってことです。そんなに受けてもしかしたら自暴自棄になってるんじゃ……とか思いました。ICND1は、ネットワーク未経験者でも資格に受かるだけなら一か月勉強すれば受かる程度の難易度です。なにかがおかしい。なので「これはなんとかしてあげないと彼が可哀そう」と思い、動くことにしました。

事前情報収集


まず彼の周辺で何が起きているのかを調べるため、情報収集からはじめました。5回受けて5回落ちたってことですが、何点で落ちたのかってのを確認すると、どうらやギリギリのところで落ちてた模様。800点前後は行くものの、今一歩及ばす不合格、ということのようでした(ちなみに合格点は830点くらい)。

そんな中、Nくんのチームのみんなも親身になって色々アドバイスしていたのですが、複数の人が色んな勉強法をアドバイスしてたんです。これは完全に良くないやつです。勉強法も定まらないまま、更に色んなアドバイスを言われたら、言われてる方はもう頭の中は大混乱です。結局どうすれば合格できるのか、全くイメージが出来ない状態に陥ってたはずです。こんな状態でやる気が出る訳ありません。このタイミングではNくん、「試験に受かっても受からなくてもどっちでもいいや」って感覚になってたと思います。そんな感じだったので、Nくんは完全に困ったちゃん扱いになってました……。

また、Nくんは完全に勉強の仕方を知らないタイプの人だろうなと感じました。20歳そこそこの人だし、厳しい受験戦争とかも潜り抜けた経験がないようなので、無理もありません。私も昔は勉強の仕方を全く知らない人だったので、彼の気持ちがすごい分かります。

という状況を踏まえて、具体的なアクションを取っていきました。

(ちなみにこの時点での私が考えてたことは、「人を育てる理論を色々勉強してたけど、彼で実践できるぜわくわく!」みたいなことでしたw Nくん完全に実験台ですw)

信頼関係を作る


まず最初にやったのは、Nくんと信頼関係を作ることです。どんなに良い勉強法でも、結局は信頼してる人からのアドバイスでなければ大体実践してくれません。素直に私のアドバイスを聞いてくれるようにするためには、信頼関係が必須だと考えました。

私はNくんからすれば会社のだいぶ上の方の人で、「よく分かんねぇけどあの人すげぇんだろうな」みたいな印象になってたと思うんですが、まずは軽い感じで話しまくることにしました。試験勉強のこととか聞きつつ、彼の意見は絶対に否定せずに、とにかく理解を示す、これを続けました。でもそれだけだと堅苦しくなるので、趣味のこともガンガン聞いたりして、信頼関係を作る様にしました。そんな感じで話してると、自分の本音をいっぱい話してくれる訳ですよ。普通の会社の上司とかに言ったら絶対怒られるような本音も話してくれました。Nくんと会話をはじめて、2~3日くらいで大体信頼関係築けたなって感じました。

という訳で次は具体的な勉強法についてアドバイスする段階にいきました。

合格するためにアドバイスした勉強法


Nくんは、そもそも試験のための勉強というのはどうすればいいのか分からないって状態だったと思うし、それに加えて色んなアドバイスを言われて頭が混乱してる状態になっていたので、勉強法をがっつり絞ることにしました。勉強方針は、以下のようなアドバイスをしました。

Ping-tの模試モードを実施→間違えた問題は必ず金に戻す。これだけをひたすら繰り返す。
②毎日の模試モードの結果をエクセルにまとめる
③問題を解く時は、正解の選択肢は何故正解なのか? 間違いの選択肢は何故間違いなのか? を考えるようにする
④絶対に間違えないぞ、という意識で問題を解く
⑤問題を回答する時は、解いている問題の解答に自信があるのか、それとも自信がないのかを意識する
⑥問題の中で、分からない単語や思い出せない単語があれば、その都度調べる

具体的な勉強法は①と②のみで、③~⑥は考え方とか意識とかの話です。

何故勉強法はPing-tの模試モードだけに絞ったかというと、勉強する範囲が広すぎるとやる気を失ってしまうと感じたからです。試験の点数自体は惜しいところまでいってるので、このタイミングで黒本などの参考書を使って一から勉強しなおす、なんてやっても絶対にやる気がでません。そもそも参考書は勉強法を分かってない場合だと、ただ読んでるだけになって全然記憶に残らないので、勉強してるって実感が持てないはずです。今彼に必要だったのは、勉強して効果が出ているという実感です。そう考えると、模試モードの点数が上がっていけば「勉強の効果が出ている」という実感に繋がり、徐々にやる気も出てくるんじゃないかと考えました。また、模試モードをやるのは1日で3回だけで良い、むしろそれ以上するな! ということも決めました。

②の結果をエクセルにまとめる、というのも、日々の結果がどう推移しているのかを実感するために、記録を付けてもらいました。

③~⑥に関しては、ただ問題を解いているだけだと問題の形や雰囲気を覚えてしまって、ちゃんと理解しきれないので、そういう意識でやるんだよってのを伝えました。

あと、毎日の試験結果を報告してもらって、結果について簡単に話し合うようにしました。これもNくんの下がりまくったモチベーションを上昇させるのに大事だと思ったからです。結局やり方だけ教えて後はひとりでやってねって感じだと、絶対気持ちが続かないんですよね。なので、絶対に毎日の結果について話し合うようにしました。

そんな訳で上記のような方針をNくんに指示し、勉強をしてもらいました。ちなみに再度ICND1を試験を受けるまで、残り3週間。この3週間でどのような推移を経て、試験に合格したかも書いていきます。

第1週目


最初は2日間は、全60問中正解が50問前後程度という感じでした。しかし、週の後半くらいになると、平均正解数が55問前後と上がってきたのが分かってきたので、やはり勉強方法をPing-tだけに絞ったのは正解でした。

また、週の後半くらいからNくんの意識にも変化が見られました。私からは何も言ってなかったんですが、間違えた問題をwordに張り付けて記録し、何で間違えたかを考えてコメントを付けるようなことをやりだしました。自発的にこうした方がいい、みたいなアイデアを考えて実践してくれることなんて、今までは無かったはずです。この自発的な変化を感じ時、やっぱり人は環境を整えれば、自発的に動き出すようになるんだなと実感しましたね。この変化は超嬉しかったです。

第2週目


2週目の前半は、58問正解という結構惜しい点数をたたき出すようになってきました。1週目の結果から推移を見てみると、上がったり下がったりはしてるものの、徐々に正解数の平均が上がってるのが分かりました。このまま頑張っていこう! と話したりしてたんですが、なかなか60点満点が出なかったので、結構心配だったんですが、2週目の後半から、いきなり60点満点がでるようになってきました。この時点で私の中ではほぼ試験合格を確信してましたね。中途半端な理解では絶対満点は出ないからです。

その後も満点は出ないにしても、絶対に55問以上の正解率を出すようになっていました。また、この週の変化としては、模試モードは1日3回でいい、と話していたんですが、勝手に4~5回やる日が増えました。これは、結果が目に見える形で伸びてきたおかげでやる気がアップし、自発的に勉強する、という意識に変えさせることができたんだなと感じました。

第3週目


3週目の前半は、今度は満点がなかなかでなくなってきました。ただ、正解数が58問前後という感じで、間違えても1~2問、みたいな状態が続きました。これも想定通りで、一度満点が出たからと言って、全ての問題を記憶できてる訳ではないです。ちゃんと理解してないけどなんとなく正解してしまってる問題とか、そういう問題をあぶりだすのにひたすら模試モードを続けてもらいました。

そんな感じに模試モードを続けてもらったら、満点が1日3回も出る日があったりと、もうこの週末に試験受けても大丈夫だなって感じになってきました。本人もまだ100%ではないけど、かなりの自信がついてきてたはずです。

そして受験……


まぁ既にタイトルにもあるから結果は分かり切ってるんですが、Nくんは無事ICND1を合格してくれました。私としては、合格してこそ自分のアドバイスが正しかったという証明になるので、合格が確定するまではドキドキでしたが、合格の連絡が来てほっと一安心するとともにガッツポーズですよ。あーやっぱりね、みたいなw

合格までのアドバイスのまとめ


結局私がしたことって、大雑把にまとめると以下のことだけなんですよね。

①信頼関係を築く
②試験方法を大胆に絞ってあげる
③模試の結果について毎日話し合う

一番難しいのは①の信頼関係を作るところかなって気がしますね。そもそもここに失敗したらその後も全部アウトですし。信頼関係を築いたら、もう勝ち確定ですよ。それで、後は勉強するための環境を作ってあげたら、人は勝手に勉強しだすんですよ。これが実践できたのも、自分もすごい勉強になりましたね。

やっぱりですね、その人にあった勉強の仕方ってのが絶対あるはずなんですよ。参考書をガーッと読んでまとめてから練習問題を解くやり方が得意な人もいますし、Nくんみたいに練習問題を軸にした方がいい人もいる。人それぞれなんですよね。

人に物事を教える時、今の私の大前提として「能力の低い人なんてこの世に存在しない」って思ってるんですよ。色んなボタンの掛け違いで、能力が低くなってしまってるし、能力が低いと判断されてるだけなんです。なので、私のような部下を教育していくような立場の人間としては「自分の教える能力が低い」って思わなくてはいけないんです。絶対に人のせいにしちゃいけないんです。もちろん教えて貰う側も「あいつの教え方が悪い」なんて思ってはいけないんですが、なんというか教育の問題って、やっぱり教える側の能力が不足してるのが問題なんじゃないかって思ってます。

私も今回はたまたま上手く行ったのですが、同じやり方で別の人に上手く行く保証なんてない訳ですから、人に合わせて、やり方を考えていきたいですね。今後もまだまだ試行錯誤です。

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