ファッチューチョン(佛跳牆)を食べてみた


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皆さんはファッチューチョン(佛跳牆)はご存知でしょうか? ファッチューチョンは中華料理は福建省の超高級料理のひとつで、フカヒレやアワビといった様々な超高級乾物をスープと共に壺に入れ、封をし、壺のまま何時間も蒸して作り上げる非常に手間が掛かる料理です。様々な超高級乾物から出る旨みがスープに溶け出し、その美味しさとあまりの豊かな香りから、仏門に入ったお坊さんも我を忘れ垣根を飛び越えてきたとのエピソードもあり、それがファッチューチョンの名前の由来にもなっています。

【ファッチューチョン 名前の漢字解説】
佛=仏、お坊さん
跳=跳ねる、飛んでくる
牆=垣根

ファッチューチョン(佛跳牆)wikipedia

私のような30代中盤の世代ですと、美味しんぼや鉄鍋のジャンにそのエピソードが出てきて「どんな味がするんだろう……」と想像を膨らました人も多いと思います。一生で一度は食べてみたい……そんな幻の料理のひとつです。私も10数年前に鉄鍋のジャンでその存在を知った時、「いつかは食べてみよう」なんて思ったものですが、仕事の忙しさなどからもうファッチューチョンのことを思い出すことも少なくなっていました。そんな時です。

「ファッチューチョン食べる会行かない?」

美味しいものに目がない友人から、唐突にお誘いがありました。もちろん私は二つ返事でOKし、行くことが決まったのが今年の頭でした。お店どこだったかの具体名は挙げませんが、完全にガチの店とだけ言っておきます。初めてのお店にビクつきながらも、ファッチューチョンを食べる会に集まった美食家の皆さまと席に着き、適当に前菜のピータンを摘まみながら、ファッチューチョンが来るのを待ちました。そしてファッチューチョンの登場です。

え? あの値段でこんだけ!?

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蓋に手をかけました!

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パカッ

何やらいろいろ入ってます。お店の人に何が入ってるかを聞きましたが、もう忘れましたw お店で使っている基本のスープをベースにして、8種類くらいの超高級乾物が入っているとか言ってました。お店の人に取り分けて貰っていざ実食!

……食べた全員が微妙な反応w

美味しいと言えば美味しいけど、微妙な味。美味いものには金を惜しまず注ぎ込んできた美食家の皆さまも美味しいと誉めようとしつつも言葉が出てこない感じ。とりあえず私が食べた瞬間に喋った感想は「お雑煮みたいな味ですね」でしたw 私の地元は東北の福島県なんですが、鶏ガラスープと醤油をベースにして鶏肉やら人参・ゴボウ・里芋なんかを入れるタイプのお雑煮なんですが、その雰囲気に似てました。濃厚な旨みが高級乾物からたくさん出ているけど、乾物独特の野暮ったい風味が鼻に抜けていく感じ。そして各種乾物から出る旨みが濃厚すぎて、すっきり感のないモッタリとした味。スープをもうちょっと薄くして、塩分量を追加すればもっとすっきりした味になるかなって感じ。あーこれならいつも自宅で作ってる豚肉と白菜のピェンロースープの方が段違いに美味しいなー、とかそんなことを思いました。

ファッチューチョンは感動したりお坊さんが飛んできたりするほどの味ではなかったですが、食べたことで色んなことに気が付きました、料理への理解度が飛躍的にアップした感じです!

ファッチューチョンがどのような料理であるかを想像すると、当時の中国で貴重品として珍重されていた高級乾物の数々を「全部一緒に煮込んだらすっげー美味しいんじゃね?」というイメージのもので作られた料理だったはずです。美味いものと美味いものを何個も何個も掛け合わせれば、当然美味しくなる! というイメージは現代でもありますが、そのイメージは当時からあったでしょう。そして当時の高級乾物の価値は時代と共に上がっていき、その作る手間からも現代では超高級料理としてのイメージを確立したんだと思います。

しかし現代では、科学の進歩により旨み成分などの美味しさの成分は殆ど解明され、鶏ガラスープの素などを使いこなせば簡単にファッチューチョン並みの美味しい料理が作れる状況です。もう、過去の超美味しい料理は、簡単に越えられることが出来るのが現代だと思いました。

そもそも料理は、美味しい料理を突き詰めていけば皆シンプルな作り方に行き着くのです。複雑に多くの材料や調味料を使う必要はなく、2~3個のポイントだけをしっかりと押さえてシンプルに作った方が、美味しくなるのです。いわゆる「素材の味を活かす」と表現される作り方ですね。

料理は複雑にすればするほど美味しくなくなり、シンプルに適切に料理したほうが断然美味しくなる、私はそう考えています。

また、世の中には人生観が変わるほど感動するような美味しい料理なんてありはしないんだと、改めて気付きました。美味しんぼやミスター味っ子(アニメ)などのリアクションを見て育った私としては「あれくらいビックリしたり感動したり大阪城壊したり海の上を疾走したりする料理がこの世界のどこかにあるんじゃないか」というイメージが結構最近までありました。いやーアホですね。薄々分かってはいましたが、子供の頃に作ったイメージというものは強いものです。はっきり言って自分が自分の味覚に合わせて作る自分の料理がすっげー美味しいですw

そんなこんなで色々な発見があったファッチューチョンを食べる会でしたが、もちろんファッチューチョン以外にも色々食べて来たので、それらをご覧になりながら、本日はこれまでとさせていただきます。

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えびに老酒飲ませてます

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えびファイヤー

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ファイヤーしたえび

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フカヒレスープ

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ご立派なアワビ

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取り分けたアワビ
これはうまかったです

ファッチューチョンを食べる会中に生まれた名言
「人間には2種類しかいません。ファッチューチョンを食べたことのある人間と、食べたことのない人間です。我々は、ファッチューチョンを食べたことのある側の人間となりました」